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《ワインについて》
ファセット、カ・グロッサ、セッラグリッリ、ロンキなど、バルバレスコを代表する複数の優良区画のブドウをブレンド。平均樹齢25年のネッビオーロがそれぞれの畑の個性を持ち寄り、複雑さを描き出します。
バラやゼラニウム、カシス、レッドチェリー、熟したラズベリーに、杉やヒノキを思わせるウッディなタッチ。 しっとりとしたテクスチャーから高密度な果実味が溢れ出し、赤系ベリーの甘やかな風味を中心に据えながら、ミネラル、のびやかな酸、旨味が何層にも重なります。タンニンはきめ細かく、力強さよりも優雅さが前面に現れるスタイルです。
《生産者について》
オーストラリア出身ながら、いまやバルバレスコを語る上で見逃せない存在となった異色の生産者、フレッチャー。アデレード大学で醸造学を修めた後、ブルゴーニュやヤラ・ヴァレーで研鑽し、2007年にピエモンテへ移住。名門チェレットで赤ワインの醸造責任者を務める傍ら、自身のワイナリーを立ち上げました。伝統に深い敬意を払いながらも、移民だからこその自由な視点で、ピエモンテのクラシックを静かに再解釈しています。
拠点はバルバレスコ村の歴史ある旧駅舎。廃駅に命を吹き込み、カンティーナ兼住居へと変貌させました。畑はスタルデリやロンカリエをはじめ、バルバレスコ、アルバ、ロエロ周辺の複数区画に広がります。自ら管理する畑はすべてオーガニック認証取得済および転換中。一部ではビオディナミ農法も取り入れながら、健全な生態系を維持しています。
醸造においては、近年注目される“インフュージョン(浸出)”スタイルを採用。自然酵母による自然発酵を発生させ、1日おきに手作業で優しくピジャージュ、抽出は必要最小限にとどめます。最終的にプレスを行うのは、すべての糖分が完全に発酵してドライな状態になってからです。
熟成には300Lの小型の樽を用い、小さなロットを分けて綿密に管理。主に10年以上使用した古樽で2年近く熟成させます。その結果、穏やかな醸造にもかかわらず、繊細で奥深く、熟成能力に長けた、驚くほどエレガントなワインが生まれます。
ラベルを見ずに試飲すれば、若きオーストラリア人の手によるものとは思えないほど静かで成熟した佇まい。“数十年の試行錯誤から得た知見を基に、キャリアの晩年を迎えた70代の生産者が醸造したようなワイン”と言っても大げさではありません。派手な凝縮感や誇張された樽香ではなく、時間とともに深まる優雅さと均衡美。フレッチャーのワインは時代を超えた穏やかな旋律へと進化を遂げています。
