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《ワインについて》
故シャルル・ドワイヤールが遺した、特別な単一区画キュヴェのひとつ。1級ヴェルテュでも最良の畑と称される「モン・フェレ」に植わる、約50年樹齢のシャルドネから生まれます。この区画ではブドウ樹がコート・ヌエ(fanleaf virus, 樹勢が弱まる病)に感染していることから、濃縮された果実を得られます。
洋梨やアプリコット、梨、チェリープラム、オレンジオイル、アーモンドペースト、ブリオッシュ、火打石などが重なり、温かさと冷たさが同時に存在する複雑なアロマ。アタックはフルボディで包み込むような厚みがあり、熟した果実味がシームレスに広がります。鋭く伸びる酸と白亜質由来のミネラルが張りをもたらし、深みと透明感が共存。塩味を伴う余韻が長く続き、壮大でありながら決して重くなりません。同じ単一区画シリーズで直線的な美しさを持つヴォワ・ドジェに比べ、モン・フェレはより包容力とスケール感に富んだスタイルです。
《生産者について》
コート・デ・ブラン南端、1級村ヴェルテュに根差し、世代を超えて研ぎ澄まされたシャンパーニュを造り続けるドワイヤール。1677年にはすでにブドウ栽培家であった記録が残されており、1927年にはモーリス・ドワイヤール氏が自社元詰めをスタートしました。現在は12代目ギヨーム氏がドメーヌを率い、父ヤニック氏が築き上げた“精密で塩味を帯びたブラン・ド・ブラン”の哲学をさらに推し進めています。
所有畑は約11ha。中心となるのは1級ヴェルテュですが、ル・メニル・シュール・オジェ、クラマン、アヴィーズ、オジェといったコート・デ・ブラン屈指の特級村にも区画を有しています。さらに特級アイ村ではピノ・ノワールを栽培。54ものリューディに細分化された畑は平均0.2haほどと極めて小さく、それぞれを個々に、綿密に管理することで、区画ごとのコントラストを明確に描き出します。
栽培ではビオロジック農法を実践し、ほとんどの畑は馬を使って耕作されます。平均樹齢40年を超えるブドウ樹はコルドン仕立てでさらに収量を抑え、ドワイヤール特有の凝縮された深みを際立たせます。
醸造では、最新のプレス機を採用し、可能な限り清澄で繊細な果汁を搾り出します。使用するのはキュヴェ(一番搾り果汁)のみ。すべての区画のブドウはブルゴーニュ産の古樽またはステンレスタンクで個々に醸造され、最低でも48ヶ月という長い熟成を経ます。ヴィンテージによってはマロラクティック発酵を行わず、張り詰めた酸とチョーク由来の塩味をそのまま閉じ込めます。
リュー・ディのラインナップは特筆に値します。ヴェルテュの古樹から生まれる「クロ・ド・ラベイ」、ル・クール・ヌエの影響を受けた古樹から驚くほど濃密な表情を引き出す「モン・フェレ」、そしてアヴィーズのチョークを鋭く映し出す「ヴォワ・ドジェ」。それぞれが同じコート・デ・ブランのシャルドネでありながら、異なる輪郭を持っています。
ワイン・アドヴォケイトにおいても、「多くのシャンパーニュとは一線を画す」と絶賛されるドワイヤールのシャンパーニュ。驚くべき複雑さと深み、極限まで磨かれた透明感に、まだ世界的評価が追いついていないとさえ感じさせます。
